神戸市東灘区のメンタルクリニック

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レケンビ(レカネマブ、Lecanemab)

神戸市東灘区のうおざき駅前心療クリニックです。

日本においてアルツハイマー病治療薬として製造販売承認を取得したレケンビ。エーザイはこれまでにも認知症の治療薬にチャレンジしていましたが、あと少しのところで承認に至らず発売ができなかったため、アルツハイマー型認知症の新薬を期待している患者さんにとっては朗報と言えるのではないでしょうか。

ただ、タイトルとしてとりあげておきながら、当院では処方できません。イソップの酸っぱい葡萄、にしかなりませんが、新薬レケンビについて勉強した事をまとめてみます。

【効果・作用機序】他の薬剤同様、既に進行してしまった認知症を治す薬ではありません。「進行を遅らせる」薬です。つまり予防薬に近い位置づけです。
ただし、従来の認知症薬とは作用機序が異なり、原因の一つとされているアミロイドβに選択的に結合することで、脳内のアミロイドβプラークを減少させると考えられ、その結果、アルツハイマー型認知症の進行を抑制することが期待されています。治験では偽薬と比較し、症状の悪化が27%抑制されました。

【対象となる患者】健康な方は使用できず、あくまでアルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)の方や軽度の認知症の方のみが使用可能です。反対に中等度や高度の認知症の方も使用できません。使える方の限られる薬となります。

【施設基準がある】この新薬を安全に使用するためには、施設としても基準が設けられており、初回導入できる施設、その後のフォローができる施設、各々について条件があります。検査体制が整っていなければならず、定期的なMRI検査ができる、もしくは髄液検査ができる必要があります。
また、エーザイさんが提供するMRI読影の研修を受講している、などの条件もあり、処方のハードルはかなり高いです。おそらく、ほとんどの精神科、心療内科のクリニックでは処方できないでしょう。精神科病院でもMRIを備えている病院はそう多くはなく、地域の中核病院クラス以上の規模の病院でないと処方はできないと思われます。

【投与方法】点滴です。2週間に1回の投与が必要です。進行抑制という観点からは、投与し続ける必要があります。

【まとめ】新しい作用機序によって認知機能の低下を防ぐ新薬レケンビについて簡単にまとめました。安全に使用する上で、処方する条件が限られており、使用できる患者さんも限られるという印象です。患者さんの治療法の選択肢が増えるのは大変喜ばしいことですが、いろんな意味で使用しやすい薬が今後も開発されていくことを期待します。

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