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スクリーンタイムとうつ病の関係

神戸市東灘区のうおざき駅前心療クリニックです。スマホが普及してからは、公共交通機関で紙ベースの雑誌や新聞を読む人はとても少なくなり、ほとんど全員がスマホを眺めています。今やベビーカーに乗っている子供でも退屈を紛らわすためにスマホ画面をタップしているくらいに当たり前の存在になったスマートフォンやタブレット。私自身が子供の頃はご飯やさんなどの待ち時間や自家用車での移動中の何もできない時間が苦痛だったので、近年はスマホやタブレットさえあればゲームもできるし動画視聴もできるしで、待ち時間の苦痛がずいぶん減ったものだと感動していたため、スクリーンタイムとうつ病に関連があるというタイトルに衝撃を受けてしまいました。

スクリーンタイムとうつ病の関係は、性別によって異なるのか??

Kleidermacher, Lauren E., and Mark Olfson. “Gender Differences in the Association Between Screen Time and Depression.” AJPM focus 3.2 (2024): 100176.

この報告以前にも、画面をずっと見ている人にはうつ病などの気分障害が多いという報告がいくつかあったようです。しかも、女性でその傾向が顕著らしいのですが、その根拠となるデータは(ネットアンケートなど??)簡易に取得された情報であって若年層の回答が多く、一般集団について同じことを言うには問題があるようです。そこで、アメリカの成人を対象に調べたのがこの報告とのこと。

2015-2016年のアメリカの全国調査からの報告です。面接とスマートデバイスとの両方で健康状態や一日のスクリーンタイムなどを調べています。スクリーンタイムというので、iphoneなどの画面を見ている画面について調べた報告だと思ったのですが、そうではなく、テレビやパソコンの画面も含めた、「画面を見ている時間」を調べたものです。つまり、色々な画面の視聴について調べていることになるのですが、その分け方としては、テレビとそれ以外(PC,スマートデバイスなど)です。テレビを見ている時間、テレビ以外の画面を見ている時間、また、その両方合算した時間、とを比較しています。うつ病の状態はPHQ-9という質問票で評価されました。

結果が女性と男性で分けられています。

結果

女性: 
テレビも含めたスクリーンタイムが一日4時間より長い方は、それ以下の方よりもうつ病のリスクが高かったとのことです。テレビの視聴時間だけで比較すると、2時間以上テレビを見ている人がそれ以下の人よりうつ病になりやすいそうです。また、パソコン含めたスマートデバイスの比較では、4時間以上と、それ以下との比較で差が出たとのことでした。

男性: 
スクリーンタイムとうつ病の関係はないとのことです。

スクリーンタイムが長いからうつになるのか、うつになったからスクリーンタイムが長くなったのかはこれからの調査が必要と記されていました。

感想

スクリーンタイムという用語をiphoneなどの設定で初めて目にしたので、スマートデバイスの視聴時間についてのみ調べた報告かと思えば、むしろテレビの視聴の方が問題かもしれないという意外な結果でした。なんとなく、自分が幼少期に慣れ親しんでいないものは子どもに悪い影響を与えるのでは?と疑心暗鬼に陥ってしまいがちですが、スマートデバイスの視聴はテレビに比べれば、うつ病などの気分障害との関連性が低いようなので、子どもの退屈対策にスマホも使用している私としてもひとまずは一安心です。とはいえ、深読みしてしまうとテレビの視聴→受動的かつ身体活動の少ない余暇活動ということになり、スマートデバイスの視聴もその内容(YOUTUBEなどの動画視聴)に限るとテレビの視聴に近い活動になりそうですから、うつ病との関連性も高くなるかもしれません。逆にテレビの視聴をスマートデバイスで行う行動パターンの方(の人はほとんどいないかもしれませんが・・・)は、外出先や移動中の余暇として利用しそうなので、身体活動はそこまで制限されず、うつ病との関連性も軽減するかもしれません。

その昔(明治時代?)は小説なんてくだらないものを読んで、と言われていたそうです。我々が子供の頃はマンガは低俗な読みものという人も居ましたが世界に誇る日本の文化として定着していると思いますし、ゲームも悪とされていたきらいがありますが今やeスポーツとして取り上げられるものもあるなど、昔は低俗とされていた文化も社会に受け容れられているように思えて、なんだか嬉しくなってしまうのは私だけでしょうか。いずれの低評価もその時代の若者が楽しむ文化を理解できない年長者の苦言とも捉えられます。新しい文化に対して過剰に不安視しないようになりたいものです。

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