神戸市東灘区のメンタルクリニック

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認知症

超高齢社会の日本において、認知症は社会的にも重要な疾患です。

現時点では認知症の根本的な治療法はありません。治療ができないのであれば、予防を・・・と考えたくなるのですが、2010年にアメリカで発表された予防因子でおすすめできるものは、運動のみです。認知トレーニングは良さそうだけど、はっきりしない、といったレベルのようです。

参考までに認知症の危険因子と防御因子を記載します。

防御因子・高い教育歴
・刺激的な仕事
・精神機能を活性化させる趣味
・脳トレーニング
・社会的交流
・有酸素運動
・散歩
・指先の運動
など

リスク因子・糖尿病
・高血圧症
・高脂血症
・肥満
・うつ病
・不活発
・喫煙
など

※認知症診療医テキストより抜粋

防御因子を増やして、リスク因子を減らせば認知症の予防につながりそうです。おおざっぱに言ってしまえば、社会と断絶せず、規則正しい生活をして運動も取り入れ、病気になりにくい生活を送ることが良さそうです。認知症に限らずあらゆる病気の予防に良さそうな生活、健康ではつらつとした生活を目指そう、というところでしょうか。

脳トレーニングについては、認知症の兆候が出てきてから慌てて家族が本人に色々とやってもらおうとするケースを散見します。これはもちろん家族としては本人のためを思っての行動なのですが、脳トレーニングが有効なのはあくまで予防です。ある程度認知機能の低下が進んでしまった方に、無理に脳トレをやらせようとすると、失敗体験が重なってしまうため、むしろ本人にとっては苦痛になってしまう場合もあります。ストレスを加えて更に自己効力感が低下して焦燥感が募り、その結果BPSD(認知症の周辺症状)が悪化する・・・こうなるとなんのための脳トレが分かりません。もちろん本人が楽しく取り組んでおられるのであれば是非続けるべきだと思いますが、嫌がる本人に対して「認知機能が悪くならないために」と強制してしまうと逆効果になる可能性があります。

物忘れの型について

認知症の型によっては物忘れが目立つのではなく、やる気が出ず、うつ病のような症状が出たり(レビー小体型認知症)、人が変わったかのように非道徳的な行為(万引きや他者への危害行為)に及んでしまう場合(前頭側頭型認知症)もあります。また、最も多い物忘れの型の認知症(アルツハイマー病型認知症)でも、進行していくと被害妄想がひどくなったり、些細なことでも怒りやすくなったり、ふらっとでかけて帰ってこれなくなる場合もあります。以上のように、認知症だったとしても様々な症状が出る場合がありますし、反対に認知症のような症状に見えていても、実際はうつ病だった、などということもあります。診察で予想できる場合もありますが、継続的に診察を受けて頂き、薬剤への反応によって病気の種類がはっきりすることもあります。まずは継続的な受診をお勧めします。

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